乱気流列車は無事、サンタクルース駅に着いた。本来の予定からは1時間ほど遅れての到着だった。
サンタクルース駅は、バスターミナルとの複合施設になっており、思ったよりずい分立派だった。

バスターミナルに到着してしばらくすると、私の名前が館内放送で呼ばれた。
コルンバ出発前に4つ星ホテルに予約していたのだが、そこから送迎が来ていたのだ。メールでは「何時に着くか分からないので、迎えは要らない」と連絡しておいたのだが、結構親切だな、と思った。
ところが、インフォーメーションブース前には、ラフな服装をした、悪く言えば、四星ホテルの従業員という身なりには見えない二人の男性がすぐに私たちのことを認識してくれた。
それを見て、ちょっと感じるものがあった。
さて、駐車場へ行ってみると、そこに私たちを待っていたのは、ボリビア国境でおなじみの、日本で廃車になったトヨタ車であった。
妻はややデスアニマード(がっかり)モードに入った。
ボリビアでは、日本の廃車となった車ばかり、とくに業務用のカローラバンをよく目にする。オーナーだった会社名もそのまま消されることなく残っている。
おそらく左ハンドル車が法律で義務付けられているのであろう。乗る車乗る車すべてが、ハンドルだけは右から左ハンドルへと付け替えられている。右ハンドル跡は、無残にも穴が開いたまま放置されているのが普通だ。
迎えが二人で来ていたため、私たち6人家族は、みな後部座席に詰め込まれることになった。
「所詮、ボリビアだから、こんなもんでしょ。そんなに立派な車はもってないでしょ。」
とネガティブなフォローをした。
ところが、市内を走ってみると、サンタクルースは、結構立派な町並みだった。わがブラジル、マットグロッソドスール州の飛躍し続ける州都カンポグランジよりも、立派そうな街並みであった。
駅から15分ぐらい走った高級住宅街の一角に私たちが泊まるホテルはあった。
間口が小さいホテルだったので、外見は四星ホテルというよりも、ちょっと高級そうなビジネスホテルという感じだった。
しかし、室内はなかなかのもので、四星というにはふさわしいレベルであった。
昼食をどうしようかなと思いながら、ロビーへ降りると
、「今日の食事3.5ドル」という掲示が目に入った。スペイン語で書いてあるため確信は持ちきれなかったが、どうも、ジュースはもちろんのこと、前菜から食後のデザートまで着いてくるらしい。
「フルコースが3.5ドルなんて安すぎるから、やっぱり違うかな?」と疑問を抱きながらレストランに入り、「今日の食事」を注文した。すると、本当にフルコースで、味もおいしかった。最後に出たチーズケーキも上品な甘さだった。コルンバでは、お目にかかったことのない代物で、妻はずい分の感激していた。
昼食の間、こじんまりとしたレストランだったが、中世貴族の別荘を意識した内装の施されたスペースを私たち家庭だけで独占し、赤ちゃんは旅の疲れで熟睡していたこともあって、じつに落ち着いた昼食の場をもつことができた。
ただ、デザート後にコーヒーが出て来るのを待っていたが、出てこなそうな様子だった。
「コーヒーを持ってきてくれ」と言うと、「ここにですか、お部屋にですか」と尋ねられ、別注文であることが分かった。ブラジルだと、どんな小さいレストランでも、フリーでコーヒーは飲めるものなので、これには驚いた。同じ南米でも違うものだ。
このホテルは、翌日正午すぎにチェックアウトした。ホテル全体が手狭な建物で、子供たちが楽しみにしていたプールのある空間も開放感に欠けるものだったからだ。
宿泊料金は私たち家族(大人2人と7歳以下の子供4人)全員で60ドル弱だった。サンタクルースの相場から言えば、これでも四星ホテルの中では、やや高い部類に入るのだ。ボリビアの物価は驚きの安さだ。